この記事はこんな方におすすめ

パルクールを知りたい
自分以外のトレーサーの視点を知りたい

 

1.パルクールとは・・・?

「走る、跳ぶ、回る、這う、登る等々の移動動作を軸にして体を鍛えるトレーニングカルチャー」といった感じの表現をされることが多いです。自分にできることを見極めながら、自由な発想で、自分自身の動きを拡張していく、その過程で肉体的、精神的な成長をしていくのがパルクールの醍醐味です。なので、ほとんどの動きやトレーニングは自己完結できてしまいます。運動、哲学、芸術、修行とか、色々な側面があってスポーツでもトレーニングでも括れない部分があります。また、フランスのストリートで発生した文化で、日本でもご多分に漏れずストリートを中心に広がってきました。今でこそ、施設や教室といったものがありますが、ストリートカルチャーとして広がってきた背景からも、トレーニングカルチャーという表現が適切なのかなぁと考えています。
定義のようなものや核になる考え方はあるんですが、絶対的に正しい形はなくて、ひとりひとりのパルクールは違うんですよ。これ、話始めると何時間とか何日とか話し続けられるので、この辺で終わりにします。また別の機会でお話することがあるかもしれません。

※これはあくまで柴田個人の考え方なので、そんなこと考えてるんだ~くらいで流してもらって結構です。

2.よくある質問に答えます

2-1.パルクールをやりたいけど、自分でもできますか?

やりたいならとりあえず始めれば良いと思います。できない事が見つかったら、それを乗り越えるために努力する。成長するための基本です。パルクールは何に挑戦するかも自分次第です。「できる・できない」も「やる・やらない」もその時の自分の身体能力とメンタルで決まります。原因を自覚しやすいので、改善策も立てやすい。小さなゴールを1つ1つクリアしていくと、自然と大きなゴールが近づいてくる。学習・成長のために必要な事を自然と学べるのがパルクールのメリットのひとつです。きちんと向き合えばパルクールマインドが育っていくので、一度挑戦してみてはいかがでしょうか?
ちなみに「できないならやらない」という考え方であれば、運動であれ勉強であれ、「できることを探して、つまづいたらやめる」を繰り返すだけになります。そうなりたいですか?

2-2.見かけの動きが激しいのでできるか分からないのですが?

2-1と似たような回答になりますが、やれるようになりたいのなら、まず簡単なことから始めましょう。いきなり大きい動きに挑戦するのはNGです。最も基本的な考え方ですが、パルクールで重要なのは「Progression(進歩)」です。どんな動きも、「ゆっくりな動きから徐々に速く」「近いところから徐々に遠いところへ」「低いところから徐々に高いところで」「単純な動作から徐々に複雑な動作へ」のように小⇒大の流れで1つ1つのレベルを上げていきます。この過程で肉体的・技術的、精神的に成長すると、結果的に速く、大きく、複雑な動きを実践できるようになっていきます。
国語ならひらがな→カタカナ→漢字と覚えて、徐々に複雑な文章を理解したり、書いたりできるようになります。算数なら数え方→足し算→引き算→掛け算→割り算…と積み重ねた結果、面積・体積の計算や関数を理解できるようになります。パルクールもそれと全く同じです。

もう1つ大事なことが、やりたいことができるようになればOKということです。純粋な移動技術を身に着けたい人もいれば、宙返りをたくさんしたい人もいます、1か所に留まって細々とした動きを繰り返す人もいます。ダイエット目的で始めて世界トップクラスになった女性もいれば、生涯動き続けられるレベルで動きを維持し続けたいという人もいます。どうなりたいかは全員違いますし、途中でそれが変わるかもしれません。ただ、自分がどうしたいか考えて、そこに向かって自分なりの取り組み方をする。動作の瞬間に気を抜かなければ、考え方はそれくらいゆるくても良いです。

2-3.宙返りをしたいんですけど、できるようになりますか?

純粋に宙返りがしたいなら器械体操かトリッキングを習うべきかと思います。パルクールは動きの幅が非常に広く、バランスもジャンプもヴォルトもロールも宙返りも自由に動きを広げるためのバリエーションのひとつでしかありません。宙返りを専門にしている競技とは動きに割く時間、身体能力の質(方向性)も違います。教室やイベントで教える内容は宙返り以外が圧倒的に多いので、ご自身が何をしたいかをハッキリさせて選択されるのが良いかと思います。

2-4.パルクールってどんな競技ですか?

パルクールは競技ではありません。そもそもパルクールは競技性をもたないトレーニングカルチャーです。勝ち負けがあるとしたら「今の自分は過去の自分と比べてどうか?」という点です。自分と他者を比べるときは、「自分の動きや向き合い方を改善するために、相手と自分がどう違うのかを考えて、自分に合うもの、自分にないものを吸収する」という場合です。どちらも「過去の自分を超える」「今の自分が一番強い」というところに意識が向かっています。基本的に、モチベーションは内発的な方が成長に有利に働くので、この辺りの感性を養うためにもパルクールというトレーニングはおすすめです。

モチベーションの例
「目標にしてた〇〇ができるようになりたい、できたから嬉しい」(自分の内側から湧く)
「誰かに勝てるようになりたい、お金がもらえるから楽しい」(外部依存のモチベーション)

競技というのは、他者と比べて上に立つことを目的とした催しです。パルクールを競技と表現する人はパルクールに対する理解が足りていない可能性があるので、パルクールを学びたい方は十分にご注意ください。

2-5.動画でみるような場所がなくて練習できないのですが…

こればかりは「探すか作るかしてください」としか言えません。というのも、本来はパルクールって「自分がいる環境で、どう動けるかを、自由にイメージして、実践してみる」ものなんですよ。おあつらえ向きな場所があったらラッキーという感じです。平面だけならどんな動きができるか?レールしかなかったら?低い段差だけだったら?やたらと高い壁しかなかったら?そこで何ができるだろう?…というのを考えて、そこでできそうなことを試すのがトレーサー(パルクールの実践者)です。良い場所が見つかっても実力が足りなければ何もできないので、そこに挑む瞬間に向かって、今の環境でできることを積み重ねてください。良い環境ができた時に、何もないから何もしなかった自分と向き合うのはキツいんですよ。逆に、良いとはいえない環境でも、できる事を増やせばいくつかは実を結ぶかもしれません。ゼロを取るか0.1でも良いからプラスを取るかはみなさん次第です。

まとめ

めちゃくちゃ雑にまとめると、「自分で課題を設定して、自分と向き合い、気持ちや考え方に正直になり、客観的にみつめて、試行と改善を繰り返す」という成長するためのプロセスがパルクール(の一部)ですよ。という話でした。まだまだ、話足りないんですけど今回はこれくらいで。みなさんの理解のお役に立てれば幸いです。ではでは!