この記事はこんな人におすすめ

パルクールを始めて間もない
自主練習に活かしたい
1人で練習していて、怪我や事故に不安がある

1.取り組み方・考え方の基本

前回は「低いところから徐々に高いところへ」というテーマで説明をしました。今回は「単純な動作から徐々に複雑な動作へ」について説明します。「ゆっくりな動きから徐々に速く」「近いところから徐々に遠いところへ」「低いところから徐々に高いところへ」「単純な動作から徐々に複雑な動作へ」、この4つはパルクールの動き以上に大事な「基本的な取り組み方・心構え」です。成長・進歩の基本的な考え方ですが、やりたいことに意識を引っ張られすぎて忘れがちな部分なので、常に意識してトレーニングを行いましょう。

2.単純な動作から徐々に複雑な動作へ

2-1.単純な動きから練習するメリット

単純ということは、「やること、考えること、気を付けることが少ない」という状態です。例えば、意識すべきポイントが1つだけの場合と意識すべきポイントが4つ5つの場合ではどちらが簡単でしょうか?人間は1つのことに集中できる状態の方が良い成果を出しやすいので、まずは単純な動作から習得した方が学習効率がよく、安全性を保ちやすくなります。単純な動作の方が、動作に慣れる=意識しなくてもできるようになるのが早くなるので、成長を実感しやすくなります。

2-2.複雑または正確な動作を作る手順

意識しなくてもできるということは、さらに1つ別のポイントに意識を集中できるようになるということです。例えば、ジャンプして着地するまでをおおまかに分けてみると。

①ジャンプ~踏切りまでの姿勢
②踏切り後~着地準備の姿勢
③着地~停止または次の動きまでの姿勢

みたいになります。①を意識せずにできれば、気を付けるのは2つ。②まで意識せずにできれば、気を付けるのは3つ…といったイメージです。実際には①~③それぞれに意識するポイントはたくさんあるので、ただジャンプして着地するだけでも意識するのは20か所以上あるのですが…注意するポイントが何十とあっても、1つ1つを無意識レベルでできるようにしてしまえば、最終的には全部自動的にできるようになります。最低限のポイントに集中して無意識にできるようにする→慣れたら別のポイントを意識するを延々と繰り返します。つまり習慣化です。
動作に慣れることで無意識にできることを増やして、新しく意識するポイントを増やすことを繰り返すと、動作の正確さを高めたり、新しい動きを加えることができるようになります。全くやったことがない動作を覚えるときも同じで、やりたい動作をいきなり練習するのではなく、その動作をもっと簡単に単純にした動作から順を追って覚えることで、安全かつ確実に成長することができます。

2-3.単純化のメリット

技術的なメリットとしては、動作の仕組みや組み立てを覚えられます。プラモデルや家具のようなものですね。力や技術…ときには道具が必要なこともありますが、手順に従えば誰でも完成品が作れるので、似たような物を作るときに、過去の経験を活かすことができます。説明書(手順)に従っても事故や故障を起こす可能性はありますが、必要な部品が欠ける可能性はかなり低くなります。勢いや感覚だけ(手順に従わない)で何とかしている状況では、部品が欠けても・余っても気づけないだけでなく、事故や故障が大きくなる危険性もあります。
精神的なメリットは、リスク=恐怖のレベルを徐々に上げていけることです。目標とする動作と同じ系統でより簡単な動作から少しずつ慣らしていくと、「ここまでなら確実にできる」という実感がわいてきます。この感覚が強いほど、恐怖で体が強張りづらいのでイメージ通りに動くことができます。例えば、バックフリップ(後方宙返り)であれば後転、フロントフリップ(前方宙返り)であれば前転といった感じで、ほとんどの動作には前提となる動作があります。前転・後転でも、「脚を抱え込んで丸くなる」のような前提があります。どうしても怖いときは、耐えられるレベルの恐怖になるまで動作を分解してチャレンジしましょう。

3.まとめ

単純から複雑へというテーマでしたが、実際のところは「自分の中でどれだけ単純化するか」というお話でした。最初は複雑だとか難しいと感じていたことも、何度も繰り返すと当たり前のようにできるようになりますよね?

少し難しいことの積み重ねを繰り返すことで、非常に難しかったことを少し難しいことに変えてクリアしていきましょう。それを努力や成長と呼びます。

同じ成功率1%なら、「100回やって1回成功するレベルの一発勝負」ではなく「成功率50%の動作を6回連続で成功させる挑戦」に力を注ごうという感じです。基礎って本当に大事ですからね。難しいことこそコツコツやって習慣と言えるレベルまで定着させていきましょう!パルクール以外の場面でも活かせるポイントはあるので、勉強や日常生活にもうまく取り入れてみてください。算数で言うと、九九や暗算、分数や割合、方程式や関数みたいなイメージです!

このシリーズは次回がラストです。なるべく短くします!パルクールをやりたい方だけでなく、こういった事を実感したい、勉強したいという方もぜひパルクール教室や運動教室に参加していただければと思います!それでは!