この記事はこんな人におすすめ
パルクールについて色々知りたい
パルクールをこれから始めたい
自分にあった運動方法を探したい
1.安全・危険に関する能力
前回に引き続き、パルクールを通して高めることができる能力について紹介します。パルクールにおいて、危険は客観的に向き合ってコントロールするものです。なので、重要なのは危ないことを遠ざけることではありません。危険を想定・察知する力、危険の程度をはかる力、対策を立てる思考力、とっさの判断力等々のリスク管理能力を様々な挑戦を通して身に着けていきます。以前の危険性についての記事では「他の運動と比べてどうなの?」という内容だったので、今回は「実際にどう考えて、何をしているの?」というポイントを紹介します。
2.危険に対するパルクールの視点
前回のエントリーでも軽く触れましたが、パルクールの基本は安全第一です。どんな小さなことでも、そこにある危険性を瞬時に判断した上で、手順を組み立て、最低限の安全を確保して挑戦します。はたから見ると刺激的でスリリングで博打みたいな動作に見えるかもしれませんが、パルクールをきちんと実践していれば挑戦に伴うリスクは必ず「自力でどうにかできるもの」になります。では、どういった準備をするのか?その一例を紹介します。
2-1.現状の身体能力・技術・精神力で達成可能かという判断
目標を達成するための身体能力・技術・精神力が揃って入れば、「成功した場合は問題ない」となります。しかし、何か1つでも足りなければこの時点で「成功を狙う」挑戦はやめます。身体能力なら「そもそも目標に届かない、移動時の負荷に体が負ける」、技術なら「動作のコントロールができず、成否が運任せになる」、精神力なら「恐怖や不安で体が強張り身体能力・技術を発揮できない、イメージ通りに動けない」みたいな感じですね。不足している能力があれば、「目標に近づく」方法を考えましょう。ちなみに、成功できる条件をクリアしても、最低限の安全性を確保できたことにはなりません。
2-2.どうやって目標に近づくかを考える
2-1で成功できると判断した場合でも、能力が不足していると判断した場合でも少しずつ目標に近づく方法を考えます。例えば、駐車場にある輪留めくらいの足場に向かって両足で着地してピタッと止まるのが完全な成功だとしたら、着地の姿勢が悪い・止まる前にふらついた・届いたけど止まれなかった・片足だけ届いた・届かなかったり跳び越した、みたいに自分で小さな目標を決めて、その中からより安全なものから1つずつクリアしていきます。環境や状況にもよりますが、いきなり完璧を狙うとリスクが高い動作もあるので、過信・慢心せずに自分の能力を確かめていく習慣をつけましょう。
2-3.どういう危険があるか?想定される失敗はなにか?を可能な限りあげる
2-2のように、安全な方法から挑戦していっても、環境・認識・コントロール等々のわずかなズレで簡単な動作でも失敗する可能性があります。どんな動作も100%成功するとは考えず、1%のミスに対する心構えを常にして、小さなことから大きなことまで考えられる失敗をできるだけイメージしましょう。手の力が足りなくてぶら下がれなかったら・バランスを崩して足を滑らせたら・跳ね返って転んだら・かかとや土踏まずで着地してしまったら…みたいな感じですね。想定外のことが起こればとてもビックリしますが、イメージできていれば少しビックリで済みます。もしかしたらビックリしないかもしれません。心の状態やイメージは動作に強く影響するので、どんな簡単な動作をするときも本気で取り組む心構えをしましょう。
2-4.最悪の事態を回避する方法を考える
次に「失敗したらどうなるか、どうするか」を考えます。イメージした失敗を自力でカバーできるか・できないかを判断します。あくまで僕の場合は、失敗した結果が打撲や生傷くらいならセーフとしますが、骨折・脱臼・靭帯断裂等々の重傷や人生が終わってしまう失敗はアウトです。セーフの場合でも、やっぱり痛いのはイヤなので安全策を考えてシミュレーションします。アウトになる失敗を自力ではどうしてもカバーできないなら、そうなってしまう方法では挑戦しません。
ただし、リカバリーを失敗したらアウトなことについては、リカバリーのリカバリーができるかも想定しておきましょう。例えば、
・高さ2mの足場に着地しようとしてバランスを崩しました(目標、失敗)
・足場を掴んでぶら下がるのに失敗しました(リカバリー1、失敗)
・足から着地するために地面につま先を向けました(リカバリー2、成功)
・そのままだと頭部が地面にぶつかりそうなので両手を出して体を受け止めました(リカバリー3、成功)
みたいな感じです。やらかしたものの何とかなりそうですね。ここまで想定して安全を確保できる動作であれば、だいたい挑戦できます。で、実際にやらかしてしまったときは感覚と思考をフル動員して、一瞬で状況の判断から対策の実行までを連続して処理します。練習していればこういった事は度々起こるので、キリの良いところまで対策を立てましょう。「転ばぬ先の杖」という言葉がありますが、これは準備すれば失敗しないよという例えなのでレベルが足りません。転んだ先で出せる手足の強さと判断力(基本的な対処法・柔軟な対応・それを実現する力と技術)まで鍛えましょう!
2-5.リカバリー動作の練習
成功を狙う前に、リカバリーがきちんと機能するかを確認します。もっといえば、リカバリー動作をできる身体能力と技術はあるの?っていう初歩的なことから確認します。ここまで想定に想定を重ねて、頭の中でごちゃごちゃしてきたものの、実際にできなくては意味がありません。失敗した時と同じような動きになるようにコントロールして、リカバリー動作そのものを身に着けておきましょう。「心肺停止している人がいて、AEDはあるけど使い方わかりません!」とか「運転免許持ってます!ブレーキって右だよね!」みたいな状態だとお話にならないので!
3.ビビるという最強の危機管理
ここまで紹介したように、1つ1つの動作に対して納得できるまで突き詰めて1回目の挑戦をします。パルクールを実践できる人は挑戦の前にこのプロセスを踏む習慣がついているので、一見無謀に見える動作でも(本人の中では)最低限の安全を確保できているわけです。実はこれ、恐怖心があって、そこに向き合うからできることなんです。ビビッてしまうから、それでも挑戦できる方法を探そうとする、何が足りないか冷静に分析しようとする、その上で実行に移して問題を解決していく。本来は道端をただ歩く時でもするべきことなんですけど、恐怖や不安がない状況では忘れがちな部分でもあります。車を運転されている方には馴染みが深いと思いますが「かもしれない運転」というやつですね。日常生活にも役立つ感覚なので、どの程度の精度と深度でこれを実践できているかを自覚するところから始めて、色んなことに活用してみてください!
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