この記事はこんな方におすすめ!

どんな靴でパルクールをしたら良いかわからない。
自分の靴がパルクールに合っているかわからない。
靴選びの基準を知りたい。

 

1.パルクール用の靴

パルクール教室の体験にお越しいただく方から「どんな靴を用意したら良いのですか?」といった感じのご質問をいただくことがあります。日本ではパルクール用の靴やモデルは販売されていませんが、海外にはパルクール用に作られた靴があります。通販で取り寄せることもできるのですが、送料だけで数千円もする上にフィッティングができません。おまけに使ってみたら合わなかったという事も考えられるので、実際に買うというとなると難しいところ…ということで、今回は柴田が靴選びの基準にしているポイントと実際に使っている(いた)靴の紹介をしたいと思います。

ひとまず、手持ちの靴を3つ紹介します。

ニューバランス(以下NB) / U220 価格:4,000~6,000円くらい

現状では屋内・屋外ともにメイン使用。ソールの癖が少なく、場所を選ばず使えて、クッション性が良好。耐久性もまあまあ。NBは品番の数字部分が同じであれば同じ形状のソールが採用されています。おまけに定番モデルはソール形状がほぼ変わらないのでリピートがしやすいのもポイントです。加えて、値引きされてもっと安く買えることもあるシューズです。これと同型のアウトソールで、よりドロップが小さいU420というモデルがあったのですが残念ながら廃版となってしまいました。

U220-1

U220-2

ワークマン / クッションメッシュ建さん 価格:580円

とにかく安い!そして使いやすい!何のためらいもなく使い潰せる上に、人工物・自然物問わず使えます。アウトソールがオーソドックスな物なので、モデルチェンジで激変してしまう心配はほぼありません。クッションメッシュとはあるものの、一般的な運動靴やカジュアルシューズに比べたらペラッペラです。動作に慣れないうちは屋内とかリスクが低めな環境で使うことをおすすめします。あと裸足で使えるのが良いですね!サンダルで出かけて、スポットについたら履き替えるとかできるのもポイント高いです。唯一の難点は、登る系統の動作を全力でやるとすっぽ抜けやすいことです。
寒い時期は「ワークマン 建さん作業靴Ⅱ(680円)」を使えば使用感はほぼ一緒なので、2足でオールシーズン対応できます。

建さん-1

建さん-2

NB / MRL996 価格:10,000円弱

最近ほぼ使っていない元メインシューズ。これは2足目。屋内用に買ったU220の方が使用感が圧倒的に好みだったので下駄箱の肥やしになっています。とはいえ、このシリーズもかなり使いやすい部類です。アウトソールのグリップ、ミッドソールのクッション性ともに良好で、相手が人工物でも自然物でも気にせず使えます。通常モデルに戻せばいつでも買い直せるのがメリットですが、使い潰すにはちょっとお高い…写真のはちょっとレアなモデルだったので一般的な996より安いです。通常モデルは15,000円~くらいだったと思います。

MRL996-1

MRL996-2

これ以外にも、「リーボック / CLジョガー(NB U220と似たような感じ)」「BROOKS HERITAGE / CHARIOT」 とか安くて良い靴は色々ありますが、供給が不安定なのでおすすめはしません。柴田はまだ使用していませんが、最強シューズと評判の「リーボック / CLナイロン)」も在庫があったりなかったりです。

2.(あくまで個人的な)靴選びの基準

柴田が靴を選ぶときに必ず考えるポイントは大きく分けると5つです。優先順位が高い方から順に「靴底の形状・フィット感・再購入のしやすさ・価格・やりたい事との相性」という感じです。実際、これは人によりけりだと思いますが、どんなことを考えているかを紹介していきます。あとはパルクール用語というかスラングみたいなものですが、グリップすること・滑らないことを「噛む」と言ったりします。「この壁(靴)は噛まないな~=滑りやすいな~」みたいな感じですね。普通にグリップが良いとか滑りやすいとかも使います。

2-1.靴底と内部の形状

先に紹介した写真の靴はどれもアウトソールが平べったく、均一なパターンになっています。同じようなパターンが連続していると、どんな角度で当てても接地時に噛みやすいのが理由です。ソールパターンの隙間が大きいと、面の当て方によって噛み方に差が出やすいからです。あと、登山靴等にありがちな高低差のあるボコボコのブロックが多いと、荷重によって歪んだブロックが急激にもとの位置に戻ろうとすることでグリップ抜けが起こって着地で事故りがちになるのがイヤなので、なるべく平たく均一なパターンのアウトソールを選んでいます。
また、つま先が反りあがっているものや、ドロップ(かかとからつま先にかけての落差)が大きい物は避けています。まず、つま先が反りあがっているものですがランニングシューズによくあるタイプで、前方への荷重移動を誘発させるので加速しやすくなります。パルクールでは指を握りこむ動作を自由に使いたいので、それに逆行する構造は避けたいところ…構造上、着地時に下半身が手前に滑りやすく失敗のリスクが上がるのもマイナスです。ドロップが大きいものも前に進む力をアシストするための構造なので、自然な動作や重心移動を身につけるという考え方から見ると、それを阻害する要素になってしまいます。
一般的な競技ではメリットになるのですが、自然な動作を作るという点においてはデメリットとして働いてしまうわけです。なので、靴の内部構造もなるべく平たく均一なものを選んでいます。

2-2.フィット感

靴のサイズを合わせるときに「親指の前に1㎝くらい隙間があるものを選びましょう」と言われます。体が成長過程にある方はそれでOKです。適度に隙間がないと体の成長に悪影響が出るのでジャストサイズは避けましょう。ただし、裸足に近い感覚で体を動かせる靴を選ぶのが良いと思います。
ちなみに、柴田は隙間が5㎜~ジャストサイズのものを使っているのですが、理由は2つあります。1つ目は着地した時に靴の中で足の位置がズレるのがイヤだからです。例えば、幅が3㎝もないレールに着地するとき、ャストサイズだとしても完全に固定されているわけではないのでズレはあります、それに加えて1㎝もズレたらバランスの取り方がかなり変わります。精確に狙わないといけないときに「ズレるかも」という感覚があると不安が大きくなります。2つ目はつま先の余りが多いと指先まで荷重をかけたい時に機能しないからです。例えば、ぶら下がりやへばりつきをする場合、奥行きが2㎝くらいしかない隙間に靴の先を引っ掛けたときに、1㎝も余りがあると指にかけられる荷重がガクッと落ちるので滑落しやすくなります。
どちらも「裸足の状態で同じことやれる?」という考えからきたものですが、裸足でやったらダメな動きは確実に体に悪いので、靴を履いていてもやらない方が良いです。なので、裸足に近い感覚で運用できる靴を使うことが無理の少ない動作を自然に作ることに繋がります。

2-3.再購入のしやすさ

2-1.で挙げたように、靴底や内部形状を重視しているので、似たような性能かより良いものが買えないと感覚の違いが大きくなって非常に困ります。NB以外のメーカーにありがちなのですが、モデルチェンジすると同じ名前なのにアウトソールのパターンが全く違うものになってしまうことが多いです。もちろん良くなるパターンもあるのですが、たいてい(パルクール的には)品質が悪くなります。いちいち靴を探しなおすのが面倒ですし、見つかっても金額が高いと萎えるのでリピートのしやすさを重要視しています。とはいえ、より良いものを探そうという姿勢は持ち続けているので、時間がある時に物色して、良い物が見つかれば乗り換えるという感じです。

2-4.価格

基本的に靴は消耗品です。同じ靴で頻繁に連取していると穴が空いてしまいます。1足だけ使っていた時期は最短で3,4か月くらいで貫通してしまったことがあります。1万円の靴を1足だけで回していたら、1年で3~4万円は飛んでしまいます。金額が高いからパルクール的に使いやすいか、性能が高いかって言われると全然そんなことはないので、経済的に問題のない範囲で自分に合った靴を探すことをお勧めします。
ちなみに、大人で練習頻度が高い方は相性の良い靴を見つけたら2,3足用意してローテンションするのがお勧めです。1足を毎日の様に使い倒すとソールが休む時間がないのでゴリゴリ摩耗していきますが、数日で良いので間を開けると同じ回数使っても摩耗が遅くなります。長く使い続けられるので新しい物を探す手間も省けて、1足を何回も買い直すよりかえって経済的です。発達過程にある子どもは1足でも良いと思います。靴がつぶれる前に本人が大きくなることが多いと思うので…!

2-5.やりたい事や服装との相性

一般的には「初心者のうちはクッション性が高い(足をダメージから守ってくれる)ものを選んで、慣れてきたら徐々に足の裏の感覚をしっかりと感じ取れるものにも慣れていきましょう。」と言うべきだと思います。特に発達過程にある子どもたちは骨が折れたり変形するリスクが大きいので。ただ、それが好みじゃないという子もいると思うので、「自分のスタイルが最優先だけど、周りの意見も参考にして使いやすい靴を選ぼう」というのが柴田の考え方です。
実際、動きに慣れてきたとしても「大きな動きや宙返りの様にリスクやダメージが高くなりがちな動作をしたいときはクッション厚め」「動作のコントロールや足の裏の感覚を重視したい時はクッション薄め」「濡れた面に対応したい時はソールの水はけが良い靴」…等々、「どんな練習をしたいか」「普段どんな環境で練習しているか」を考えてその時々の方向性に合った靴を選んでいます。なので、「普段着と合わせられて、出先でちょっと動きたくなったときに使える靴」もあります。僕にとってパルクールは特別な趣味とか運動ではなくライフスタイルなので、普段着と運動着の明確な境界がないんです。常在戦場…はちょっと違う気がしますが、動きたい時に動けないのはイヤなのでいつでも動ける恰好をしているという感じですね。
そういった意味でも、「自分の(ライフ)スタイルを最優先に、周りの意見も参考にして使いやすい靴を選ぶ」というポイントを重視しています。

3.まとめ

という感じで、主観バリバリの靴選びでした。2-1~3に関しては、多くの方に当てはまるポイントだと思うので、ある程度参考になるかと思います。4,5は経済性や趣味の問題なので、言われるまでもないことかもしれません。どこまで役に立つかは分かりませんが、靴選びの参考になれば幸いです!

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